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Hさんという人 [ひと]

思い出を探るように、上田に住んでいた頃に趣味で撮った写真を見ています。当時デジタル一眼はまだプロ用のバカ高い機材しかなく、また僕自身アナログフィルムの質感が好きだったせいもあって、無骨なメカニカルデザインに惚れ込んだBESSA-Rというライカのエントリー型のような(ライカではありませんが、ライカのレンズを作っていた会社です)レンジファインダーカメラと、後に即時性を鑑みてコストパフォーマンスの高かったEOS 5を購入し、動きのない風景はBESSA、人物や動きのある風景はEOSというように使い分けていました。

故人とよく飲みに行ったタイスナックのオーナーのHさんという方がいました。彼は「食の師匠」と呼んでいましたが、元フリーカメラマンで、水中写真を主に撮られていたそうです。未だにこんな古臭いカメラで写真を撮っている僕を気に入ってくれたのか、色々と教えてもらったり(話は若干クドいんですが(^^;)ご馳走になったりしました。特に塩だけで味付けされたイナゴの素揚げはパリパリとした歯ごたえがあって香ばしく、海老のような滋味があり美味だったのですが見た目のグロさのため日本人にはまったく好まれなかったようで、タイ人絡みのコミュニティでしか食せる機会がなかったので、出てきたときは嬉しかったものです。

上田界隈のタイ人には先生と言われる存在で、住居を提供したり仕事を斡旋したり、またタイ本国との連絡役としても動いていたようです。まあこれを世間一般では女衒というのでしょうが。タイでは首都バンコクから遠く北方の寒村に出向いては小学校に文具の寄付などもしていたようです。一度彼の住居にお邪魔したことがありましたが、3DKほどのアパートの一室にタイ人の女の子や男の子がわさわさいて(7~8人ぐらい?未成年ではありません、念のため)、正直面食らいました。

恩人が「ゆるやかな自殺」と形容するほどの暴飲が祟ったのでしょう、彼もまた5年前、すでに鬼籍に入っています。恩知らずの僕は、未だに墓参りにも行っていません。というかお墓、あるんでしょうか…。

写真は恩人とその子ども達を撮っているHさんを僕が撮ったものです。
いまごろは二人で一杯やっているのかもしれませんね。

書いたひと:ちり


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